地球の支配者は
爬虫類人的異星人である
太田龍・著 成甲書房 
2 日本人だけがなぜ、これほど純情でウブか

 西洋文明の発達は野蛮への退行である

 古代ギリシャ神話は、一ギリシャに限定されたものではなくて、西洋オリエントの青銅器文明に共通する普遍的な神話の一部である、という。この青銅器時代の神話か表現するごとく、文明とは野蛮化である。これは西洋文明の厳たる法則だ。
 文明の発達とは野蛮への退行であり、その文明体に組織される人間集団が、地獄へと向かって真っ逆さまに転落してゆく過程である。この命題は西洋では文字どおりに適用される。それが自然征服文明の宿命であり、必然であり、不可避の末路である。
 このような世界では、ギリシャ神話が伝えるように、覇権を求めて神々は互いに殺し合う。といっても、この「神」は、やまとことばの「カミ(上)」ではない。
 西洋オリエントの古代史は、神々の間で展開される弱肉強食の戦争の歴史でもある。つまりこれは、神々のエリミネーションの歴史である。
 エリミネーションを日本人は「予選、選抜」と訳した。しかしこの翻訳はまったく見当が狂っている。エリミネートとは、強者勝者が弱者敗者を無慈悲に抹殺してゆく過程である。しかしながらそこで勝ち残る神々は、神というよりは悪魔というべきではないのか。いや、そこでは神と悪魔は表裏一体である。
 青銅器文明期の西洋が生み出したものは、表面が神、裏面が悪魔、というヤヌス(二つの顔を持つ神)である。しかしこんなしろものを、やまとことばは表現するすべを持たない。
 西洋オリエントの自然征服型人類独尊型文明は、BC3000年紀からBC2000年紀にかけて、ある一線を越えた。西洋文明はその時点で、取り返しのつかない修復不能な致命的誤謬を犯した。その誤謬はやがて全人類を殺害し、人類全滅へと駆り立ててゆくであろう。
 その時代、縄文日本人は幸福であった。ユーラシア大陸の極西で生じつつある惨劇を、夢にも知ることが出来なかった。
 その誤謬とは、人間が手中に収めた破壊のエネルギーを増幅するエネルギーによって、人間と大宇宙の生命体の結び付きを切断する行為である。その行為の結果、

(1)人間と人間との自然的紐帯が切断され、祖先への孝養、祖先崇拝の道徳が破壊された。
(2)人間と自然との自然的紐帯が切断され、地球生物全体社会への孝養の念が破壊された。
(3)人間と天地宇宙との自然的紐帯が切断され、かつての日本人が「お天道さま」と呼んだものへの孝養の念も破壊された。
(4)そして最後に、大宇宙の親神さまとの縁を自分で断ち切ってしまい、そのために急速に「気枯れ」状態に突入してゆく


「気枯れ」とは実に絶妙なやまとことばではないか。けがれ(穢れ)を榊の葉や白い紙の幣(ぬさ)で祓っても、それは徒労だ。
 みそぎはらいは日本神道の重要な行事ではあるが、恐らくこれは、縄文神道、飛騨神道とは無縁であろう。山本建造先生は「榊の葉で穢れを祓う神事は出雲宗派宗教に由来する。本来の古神道にはない」としておられる(『裏古事記』106頁)。
 単なる表面的な汚れ、穢れなどではない。大宇宙の大親神さまとの気脈を切ってしまったので、気枯れるのである。
 この気の流れを回復しなければならない。それを修復する方法を見つけださなければならない。
 
← [BACK]          [NEXT]→
 [TOP]