「白人スタンダード」という
新たなる侵略
清水馨八郎・著 祥伝社 

 まえがき

 白人がこの500年、1,000年、世界で何をしてきたか。世界中を侵略し、自らの利益だけのためにこれを植民地化し、住民を奴隷として使役し、ときに虐殺し、世界中であらん限りの暴虐と略奪を繰り返してきたのは、いったいどこの誰か。そしてこの白人の残虐性は、何に由来しているのか。私は、これらについて、前著『侵略の世界史』『破約の世界史』(ともに祥伝社刊)の中で、分析を試みてきた。
 さらには、東京裁判によって歴史が捏造され、日本が「侵略者」「戦争犯罪国家」に仕立て上げられるにいたった経緯についても、詳しく検証し、日本という国と、日露戦争、大東亜戦争が世界の植民地解放と、人種差別撤廃に果たした世界史的意義についても、明らかにしてきた。幸いにして前記2冊の本は、圧倒的好評をもって迎えられ、共感、励ましのお手紙がいまも引きも切らないのは、心強い限りである。
 だが、それでは白人による世界侵略が第二次大戦をもって終息したかと言えば、それはとんでもない勘違いである。「グローバル・スタンダード」という美名のもとに押し進められる経済、金融政策が、つまりは「アメリカン・スタンダード」の押しつけではないかとの認識は、最近広がってきているが、衣服、食生活、住環境、言語、習俗全般にわたって、それぞれの国家、民族が長年培ってきた固有の文化を圧殺し、白人スタンダード一色に塗り込めようとの「文化侵略」は、激しさを増すばかりである。さらに狂牛病、地球温暖化、環境破壊など、白人文明の世界化が人類にもたらした害悪は、枚挙に遑がない。
 そして何よりも強調しなければならないのは、いま白人の最大の侵略を受けているのは、ほかならぬこの日本だということである。日本は戦後の占領政策によって、日本古来の伝統美風を一切否定し、戦犯国としての贖罪意識を骨の髄までたたき込まれた。これは、白人に真っ正面から刃向かった有色人種で唯一の国・日本が、二度と白人に盾つくことのないように、日本を徹底的に骨抜きにし、愚民化しようとした意図の表われに他ならない。また、日本が戦後めざましい経済復興を遂げて欧米を脅かす存在となるや、あの手この手を駆使して、これを妨害しようとしている。そのキー・ワードが「グローバル・スタンダード」である。日本は、洗脳され、騙されつづけている事実に目覚め、一刻も早く自分本来の道を取り戻さねばならない。そうしなければ、日本は、早晩滅び去るであろう。本書が、日本人の覚醒を促す契機となれば幸いである。

  平成14年8月吉日
                清水馨八郎
 
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