「白人スタンダード」という
新たなる侵略
清水馨八郎・著 祥伝社 

 戦争に持ち込むためのアメリカの常套手段

 アメリカは独立以来わずか200年で約200回も戦争している。20世紀最大の好戦国家である。今日のような世界に突出した力の覇権大国にいたる過程において、米国は過去にいくたびも巧妙な手段で戦争を造り出し、勝利してきた。その陰険な謀略には、涙ぐましいものがある。
 地政学上、新大陸の米国に対して、大西洋、太平洋の大海原を越えてまでして侵略を仕掛ける国があろうはずがない。しかし戦争がなければ領土の拡張も、米国旗の星の数を増やすこともできない。そこで歴代大統領の中には戦争を製造するという悪魔的な常套手段を弄する人物が出てくることになったのである。
 それには敵がやったと見せかけ、自国のアメリカ軍人や一般市民を多数見殺しにして、その犠牲をテコに国民の敵愾心を一気に沸騰させ、戦争を造るのが一番である。すでに歴史的に認知されている例を挙げると、次のごとくである。
 第一例が「リメンバー・アラモの砦」である。1845年、当時メキシコ領であったテキサス州サンアントニオに砦を築き、これを囮(おとり)として200名の米義勇兵をメキシコ軍の犠牲にした後、宣戦布告し、テキサス、ニューメキシコ、カリフォルニアを奪った。それで当時のメキシコは、国土の半分を失った。一方アメリカの国旗の星の数は、一挙に倍増した。
 第二の例が「リメンバー・メーン号事件」である。米はスペイン領のキューバで起こった独立運動に乗じて戦艦をハバナ港に送り、何者かによって爆発させ、260名の犠牲者を出し、これをスペインの陰謀と宣伝した。そうして国民の敵愾心を高揚させ、宣戦布告して(1898年)、これに快勝し、スペインからキューバ、フィリピン、グアム、プエルトリコを奪った。これが米西戦争の成果である。
 最も有名な例が日米戦争開始のために仕組んだ「リメンバー・パールハーバー」である。これがフランクリン・ルーズベルトの対日戦を挑発するための罠であったことは、すでに歴史的に周知された事実である。2隻の空母と新鋭艦19隻を外洋に移動させ、老朽艦16隻を残して、日本の先制攻撃を誘導し、2,400名の米兵を平気で犠牲にしているのである。日本軍は完全にルーズベルトの仕掛けた罠に引っ掛かった。日本はこれによって、騙し討ちの汚名を着せられることになったのである。
 次に湾岸戦争も、米の巧妙なヤラセだったことが、やがて明らかになるはずである。当時、米国の駐イラク大使のグラスビー女史がフセインに近づき、イラクがクウェートに侵攻しても見過ごすからと罠をかけて安心させた。実際にフセインが進入すると、イラクの侵略だ侵略だと世界中に宣伝し、すでに待機していた55万もの軍隊をアラビア半島に進攻させ、大量の弾薬を砂漠に打ちこませた。米は世界中から協力援助金を集めて、その収支では大きな利益を得たと、英国の機関が公表しているほどである。
 米国は世界有数の好戦国であるが、ただ一つよいところがある。それは米国の公文書館で30年経つとすべての外交文書が公表され、真実が明らかになることである。今回の同時多発テロ事件が「リメンバー・ワールドトレードセンター、アンドペンタゴン」という同じヤラセのパターンか否かは、30年後の2031年9月11日になれば明らかになることである。
 ともかく米国という新興国は、国益のためなら自国民を平気で殺戮し、いけにえにして戦争を造る恐ろしい悪魔の国である。祖先がバイキングという海賊の子孫であるアングロサクソンの遺伝子の血が疼(うず)くのであろうか。
 
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