ユングは
知っていた
コンノケンイチ・著 徳間書店 
第3章 宇宙シンクロニシティの警鐘

 「光と闇」の葛藤(人類歴史を誘導する「龍」)

 太田龍氏は、次のような事実も紹介している。

 デーヴィット・イク(『……そして真理はあなたを自由にする』の著者)は、ここに現代の秘密結社(註・陰の世界政府=ブラザーフッド)の原型を見出す。イクの説によれば、支配の構造は次の図のように組み立てられる。

1 地球人類を支配するルシファー的異星人
   ↓
2 グローバル世界のエリート
   ↓
3 秘密結社ブラザーフッド
   ↓
4 各種の権力機関


 大衆(家畜人としての、または遅かれ早かれ家畜人に転化すべき)の目には、が見えるだけであって、より上は見えない。単に見えないというのではなくて、おそらく精神力、知力、霊力に差をつけられているのである。オール・シーイング・アイ(すべてを見通す目=アメリカの国璽)はまたはを象徴するのであろう。
 そして実に、米国の国璽は1776年の独立宣言から1934年まで、160年間表面に出ることはなかった。1935年、フリーメーソン第三階級のF・D・ルーズベルト大統領、同じくウォーレン副大統領の時代に、堂々と、1ドル紙幣の図柄として、全米国民のみならず、全世界諸国民の前に登場するまでは――。
 私も若いころ旧約聖書を読んだとき、あまりのゴッドの人間臭さにへきえきした憶えがある。「私は嫉妬深い神である」と幾度も述べているように、人間への非情さと厳しさは徹底している。まるで人類は鵜飼いの鵜か猿まわしの猿と同じで、全編を通じてゴッドへの絶対的な忠誠心を要求されている。
 しかし新約のゴッドは、キリストに多くを代弁させているように「愛と慈悲」に満ちた存在である。同じ聖書のゴッドなのに、この違いは何なのだろう?
 つまり私が言いたいことは、旧約と新約のゴッドは宇宙超知性でも異種の存在らしいということである。ユングも生涯にわたって聖書のゴッドと自分の求める「神」とのギャップに悩み続け、自分にとってキリスト教の神は超越的というよりも、むしろ権威的で、あまりにも人間なみで世俗的な問題とかかわりすぎており、ときには人間の欲望を駆り立てて人間を迷わせる存在にさえ思われた、と自伝で述べている。
 はっきり言ってキリスト教では旧約と新約を同居させてきたのが、そもそもの間違いだったと私は思うが、どうだろう。それゆえ太古の昔から永々と続いてきた宇宙スケールでの「光と闇の葛藤」という真の絵図が、当のクリスチャンたちにはみえてこない。ユングは敬虔なクリスチャンだったがゆえに、そのジレンマに悩んだのである。
 ユダヤ教が新約聖書を排除したのはそれゆえで、「タルムード」には「龍」そのものの思想である苛烈きわまることが述べられており、「ヨハネの黙示録」が指す「龍」の原点は旧約+タルムードである。そのシナリオを警告したファティマの超知性こそが「光の勢力」(新約のゴッド)であろう。そのあたりを充分に見きわめないと混乱するし、ゴッドという真の構図もみえてこない。
 ここで「神」という存在について、整理しておこう。

[1]聖書のゴッド=異星人。
[2]人間自身がもっている深層無意識や集合的無意識を統御している存在。
[3]宇宙全体(霊界を含む)を統御する超知性体。
[4]「創造神」と呼ばれる何者か。


 これだけバラバラの存在が(重層していようが)、すべて実在し「神」と称されるのだから、人によって「神」の捉え方が違うのも、宗教をめぐる争いが絶えないのもうなずけよう。また、これらが互いに干渉し合い、影響し合っているのも否めない事実である。
 
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