ペットが死ぬとき
誰も教えなかった別れの意味
シルビア・バーバネル 著 近藤千雄 訳・編
ハート出版
 

 10章 心霊写真による証明

 イングランド北西部のクルー市に住むウィリアム・ホープ氏(1863〜1933)は心霊写真を専門とする霊媒で、「クルーサークル」という施設を主宰していました。この人に撮影してもらった写真には必ずといってよいほど他界した身内や友人・知人などが写っていて、それだけで死後の実在を信じるようになった人が少なくありませんでした。
 ホープ氏はもともとは職工で、ある日の昼の休憩時間に仲間の一人を、レンガ塀を背にして写真を撮ってやったところ、そこにいなかったはずの別の人物が写っていて、しかもその姿を通して背後のレンガ塀が見えるのです。本人に見せると、それは他界している姉だが、どうやってこんな写真をこしらえたのかと問われて、ホープ氏自身も困ったということです。
 それを第一号として、その後も次々と不思議な写真――死んでいるはずの人物が写っている写真が撮れるようになり、しかもそんな写真はその家の者も覚えがないことから、死後の存続を示す証拠として話題を呼ぶようになりました。
 そのうち英国国教会の大執事(副主教)でスピリチュアリズムにも理解のあったトーマス・コリー氏のすすめで心霊写真を本格的に研究するようになり、さらに同市に住む霊能者のバックストン女史と組んで「クルーサークル」という心霊写真専門の機関を設立しました。
 さて、そのバックストン女史の家族が、ある日、ホープ氏に心霊写真を依頼しました。その頃は、父親が他界して間もない頃だったので、家族全員で撮ればきっと父親が姿を見せてくれるだろうと期待していたそうです。ところが、実際に写っているのは父親ではなくて、かつてバックストン家で飼っていたフロスという名の愛犬でした。
 しかも、この写真(割愛しました――なわ)で不思議でならないのは、フロスをいちばん嫌っていたエイミーのひざの上に乗っかるようにして写っていることです。実はエイミーのフロス嫌いは大変なもので、同じ部屋にフロスがいるのが我慢できず、エイミーがバックストン女史の家に遊びに来る時は、必ずフロスをエイミーに見えない場所へ連れて行かねばならないほどでした。それが、なぜまた、よりによってエイミーのひざの上に乗っかっているのか――私には確かなことは分かりませんが、たぶん、あんなに嫌われても別に悪意は抱いてはおりませんよ、と訴えているのでしょう。
 もう一枚の写真(割愛しました――なわ)は、ある婦人が他界した親戚の人の心霊写真が欲しくて、「クルーサークル」を訪れてホープ氏に撮ってもらったところ、1週間前に死んだ猫が写っていたというもので、しかも幼児の時に他界した子供から「お母さんへ」の書き出しで始まる文章も写っていました。「猫はボクが面倒をみてるから心配しなくてもいいよ」という内容で、この種の心霊写真はきわめてユニークです。
 前にも紹介したディーン夫人は「ジュリア局」と呼ばれる心霊施設を利用して、よく心霊写真を撮ってあげていました。ある時、2人の婦人が訪れて心霊写真を要請しました。ディーン夫人が撮ってあげたところ、そのうちの1人が飼っていた犬が写っていました。少し鮮明度が欠ける憾みがあるのでここで複写して紹介はしませんが、私はその犬の生前の写真と合わせて見せていただいて、そこに写っているのが紛れもなく同じ犬であることを確認しております。もう一人の婦人も、母親の像が写っていて、とても喜んでおられました。

(以下略)
 
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