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第4章 生と生のはざま B |
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中間世への旅はたいてい死の場面からはじまる。ホイットン博士は、催眠状態に入った被験者をまず前世へと連れもどし、その人生の最期の場面をざっと見てから、ソファに横たわるその人をバルドの境界へと到達させる。ときどき「今どこにいますか」「何が見えますか」と質問しながら進み具合をチェックする。 典型的な例では、被験者はその前世の体とおぼしきものの中で息をひきとり、それから徐々に、近似死体験の対照研究を行なってきたレイモンド・ムーディー博士やケネス・リング博士、マイケル・セイボム博士、モーリス・ローリングズ博士らの医師の集めた体験談とそっくりな話をしはじめる。 超意識の状態に入ると被験者の表情はがらりと一変する。死の体験にともなって、顔をしかめる、顔をゆがめるなど怖れや苦悶の表情が浮かぶが、それが消えるとまず無表情になり、それから安らいでおだやかな表情に変わり、最後には驚きが満面にひろがる。目を閉じてはいても、被験者はまぎれもなく目の前のありさまに心をうばわれ、そのとりこになっている様子である。 被験者がその光景にすっかり夢中になっているため、ホイットン博士はしばらくの間質問したり指示を与えたりしてさえぎることはせず、被験者をそのままの状態に放置して、この別世界のリアリティーに慣らしてやる。次に博士がソファに横たわっている人物に話しかけるときには、目の前の人物に対してではなく、あの束の間の人格を生み出してきた「永遠の自己」に向かって話をすることになる。 (中略) |
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