大世紀末 
サバイバル読本
“食育”編
浅井隆+花田美奈子・太田晴雄
総合法令
 
第2章 東洋医学の復権と食生活

■これから脚光を浴びる物理的免疫療法

浅井 最近東洋医学的なものに陽が当たり始めましたね。
太田 西洋医学に対する不信感、特に医は算術なり、患者はお金の取れるお客さん、という現代の医師に対する不信感、薬品などの化学療法への信頼性がなくなるのは当然ですね。
浅井 そういえば、この間皮膚病の治療薬ソリブジンの話があったばかりですね。あれでは信頼感がなくなるのは当然ですね。
太田 最近、西洋医学の中でもフランスやアメリカあたりの医療先進国から東洋医学に迫ろうという動きがあります。その中ではガンの治療法について、化学療法は副作用が強く、今後、治療の中心は免疫療法に移るだろうといわれていますが、この免疫療法は東洋医学的な考え方なのです。身体の中の免疫能力を高めて、異質細胞をやっつけようというわけです。
 たとえば、ガンの療法はこれまで放射線療法、化学療法、外科的療法と免疫療法の4つがありました。しかし放射線療法、化学療法はいずれも強い副作用で、ガンはやっつけたけど患者は衰弱死してしまうという例が多いのです。西洋医学の行きづまりといわれています。これに対して免疫療法は、体内のバランスを保ち、体内の異質細胞を貪食するマクロファージといわれるものを活性化させ、それで異質細胞を食ってしまおうというもので、直接ガンに効くというのではありません。
 このほか私の注目しているものに蓑原右欣さんという人が開発したローリング療法というのがあります。小さなゴム製のタイヤのようなもので身体のツボをこするだけ。これで医者から見放された患者をずいぶん救っています。
浅井 そんな簡単なもので何でも治るのですか。
太田 そこは難病の見本市のようなものであらゆる病人が来ますが、治療はそれだけ。でも私にはその理屈はよくわかるのです。
浅井 どんな理論なんですか。
太田 蓑原先生が言うには、現代医学では発病した結果を見てそれに病気を当てはめているだけだというのです。その原因は急性の感染症や、けがなどの場合はべつとして身体の中の血流に支障を来すから病気になるのだというのです。したがって治療法はひとつ、身体のなかのうっ血や、しこり、くすぐったいというところは小川で言えば汚泥が溜ってガスが発生しているようなもので、これをローリングしてドブ掃除をするというのです。
 その理屈は枯れた田んぼに水をやれば枯れかけた稲も回復する、同じように血が満足に行かなくなった椎間板の血流を良くすればいい、つまり、稲と同じだというのです。西洋医学ならそれを1時間に何ミリリットルの血流があって、そこにどんな白血球が働いて……など実証を求めますが、それより結果だというのです。
浅井 なるほど、我々の理屈としては難しい医学の理論より分かりやすいですね。
太田 私は私なりにこんな理屈を考えてみました。血流が悪いとそこに流れる血液は新鮮な酸素や栄養素を運ばない、そこで体内に入ってきた異質細胞をやっつける白血球やリンパ球が活性化しないので免疫性が損なわれる、それが発病の原因になると。
浅井 うーむ。なるほど。
太田 つまり私か言いたいのは蓑原先生の言うローリング療法とは物理的免疫作用、物理的免疫療法なのだと。
浅井 私は肩こりでして、うっ血しやすいのかな、何か自分にも当てはまりそうです。血のめぐりが悪いのが万病の元になると聞いては時々行かなきゃ。
太田 しかし、東洋医学的なものは西洋医学に理屈では負けてしまいますから、健康保険の対象になりません。それでもこの辺のところを何とかお国の方でも考えてもらえないものですかね。
浅井 現代医学の上に立った実証主義で厚生省ができているのですからやむを得ない話かもしれませんが、刻々と文明の交代期が近づいています。いずれ陽が当たる時期が来るにちがいありません。
 
← [BACK]          [NEXT]→
 [TOP]