「白人スタンダード」という
新たなる侵略
清水馨八郎・著 祥伝社 

 日本食に込められた重大なヒント

 それでは植物型の食性の中で、どの民族の食事が最も理想に近いかが世界の関心事となる。「食」とは文字どおり「人に良い」という字で構成されているほどで、人間生活の基本中の基本である。
 1970年代のアメリカでは、癌や心臓病など慢性病が激増し脅かされていた。そこで成人病と食事の関係についての国家的な調査研究が実施された。その結果が有名なマクガバン・レポートとなった。その中で理想的な食事は日本食であること、それも元禄時代(17世紀末―18世紀)以前の日本人の食事がよいと結論づけている。元禄時代は白米より玄米を食べる人が多かった時代である。
 現在でも和食はヘルシーな長寿食と言われて、世界一の長寿国日本を支える原因とみなされている。和食はごはんにミソ汁、菜っ葉に漬物、それに海藻や小魚が少々である。肉食より魚食が体によいので、お寿司は今や人類の健康食として世界中に普及している、世界の大都市の中で寿司バーがないところはない盛況である。ニューヨークの寿司屋に入っても、日本人のお客よりアメリカ人のほうが多いのが普通である。
 和食は穀物や野菜が主なので、人間1人を養うのに農地は牧場の10数分の1で間に合う。日本の農家はわずかの土地で、五反百姓といわれながら、太古から定住農耕社会を形成してきた。和食こそ地球空間を節約して、人の健康を維持し、肉食に比してはるかに地球にやさしい食文化の在り方である。21世紀には「和食の世界化」こそ人類を救う道と確信するものである。
 
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