「白人スタンダード」という
新たなる侵略
清水馨八郎・著 祥伝社 

 白禍の猛威は、戦後の日本にきわまる

 ユーラシア大陸の西北部の半島部を占めるにすぎなかったヨーロッパ白色人種が、広く世界の非白人を侵略し、植民地支配して深刻な苦難を与えてきたことは、歴史的事実として糾弾されねばならない。だが、その中で日本だけが白人の植民地にならなかったために、白禍の害を最も蒙らずにすんだかのように思いがちである。それはとんでもない誤りである。
 日本国のみが非白人国の中で唯一その白人覇権に勇敢に立ち向かったがために、白禍の禍(わざわい)を、もろに受けることになった。そして今なお、白人からの集中砲火を、一身に浴びせられているのである。
 まず日本が、白禍のうちの軍事力という力の侵略に真正面から立ち向かったのが、日露戦争と大東亜戦争であった。そのことは誰の目にも明らかだが、白人の侵略は、戦後も止まることがなかった。それは米の占領政策や戦後体制の構築という形をとって表われた。いわば、文化侵略というべきものであったが、白人に歯向かった唯一の有色人種国に対するそれは、他に例を見ないほど苛酷なものだった。それは、日本古来の伝統をすべて骨抜きにして破壊し、日本が二度と立ち直れないように、との目的に貫かれたものだったからだ。このようにアングロサクソンの代表アメリカは、武力と文化の文武両道で日本を侵略しつづけてきたのである。
 アメリカの目的は、予想以上の効果をもって達成された。その結果、戦後半世紀以上経っているのに、日本はいまだに占領憲法下にあって、謝罪を国是とする異常な国家に置かれたままである。日本人が大東亜戦争で尊い血を流したお蔭で、アジア、アフリカのすべての植民地民族が独立することができたことなど、日本人自身がすっかり忘れてしまった。
 いまや、大方の植民地が独立を果たした中にあってただ一国だけ、いまだ完全独立を果たしていない国が一つある。それが、ほかならぬ日本だ。白人によって、騙され押しつけられた戦後体制を、日本のみ頑(かたくな)に守っているからである。そうして騙されたことに、いまだに気づいていない。その結果、日本民族の誇りは取り上げられ、全く事実とは逆の歴史認識を植えつけられ、信じこまされて今日に至っている。日本では明らかに「今も戦後」の状態が続いているのである。白禍のすさまじさは、日本において極まったといっても過言ではない。
 白人の「日本狙い撃ち」は、日本が復興して世界第二位の経済大国となったいま、さらに激しさを増している。あの手この手を使って日本の経済、金融を骨抜きにしようと図っていることは、ご承知のとおりである。そして最近のキーワードが「グローバル・スタンダード」にほかならない。白人国にとって、「唯一白人に歯向かった国」が、けっして許せないのであるから、この傾向は増すことはあっても、低減することはない。日本はこのからくりに気づかねば、いつまで経っても、半永久的にやられっぱなしである。
 その大本は、なんといっても占領軍による戦後体制にある。日本はそこから脱しなければ、今後も立ち上がれないどころか、国家滅亡へと落ちざるをえない。したがって日本復活のためには、日本が白禍の禍を最も強く受けている事実を認識し、あべこべの歴史観を植えつけられてしまった事実に気づかねばならない。その第一歩は、日本が白人どもと戦った大東亜戦争は断じて侵略戦争ではなかったこと、白人こそが侵略者で、日本は被害者であること、日本がアジア民族解放の務めを担った事実を確認することだ。そしてわれわれを苦しめてきた虚構の戦後体制、謝罪を国是とする愚かな体制の過ちに、一日も早く目覚めることである。本書の目的もここにあるのである。
 以下、戦後の日本を蝕んだ「占領体制」の象徴的事例を取り上げていくことにしよう。
 
← [BACK]          [NEXT]→
 [TOP]