大世紀末 
サバイバル読本
“食育”編
浅井隆+花田美奈子・太田晴雄
総合法令
 
第1章 その食生活があなたを殺す

■“よく噛む”ことの効用

花田 私ね、最近忘れられているのが、ものを食べるとき“よく噛む”こと、そう思うの。これ、絶対に健康のもとなんですよ。お子さんのときから、“よく噛む”ことを励行させておけば、絶対に病気にはかかりにくくなります。いえ、すでにかかってしまった病気も治るといいます。
浅井 私も聞いたことがあります。食べ物はよく噛んで食べること。名医といわれる人も推奨しているんですね。
花田 ふつうの健康な人で食品添加物の毒性を少しでも薄めるためには、一度口に入れたものを30回から50回噛む。同志社大学の西岡一博士(添加物の著作が多い)が言っておられます。病気を治すとなれば、100回も200回も噛まなくてはなりません。それくらいもう食べたものを本当に液状に近くして胃に送り込むんです。それは本当に効果がてき面にありますよ。
太田 唾液というのは、非常に大事な働きをするんですね。胃に送り込む前に唾液で十分に消化しておけば、胃の負担が軽くなるばかりでなく、腸まで含めた全消化器系にいい影響があります。
浅井 消化器だけでなく、心臓などの循環器系にもいいそうですね。

花田 唾液の効用とともに、よくそしゃくをすると、アゴを動かすでしょ? これが脳に酸素を大量に送り込む働きをするんですって。アゴを動かすとこめかみが動く。これです。それにはよく噛まないといけないと。併せて健脳にもなります。
浅井 そういえば、いまの若い人たちでアゴの丈夫そうな、いわゆる“エラの張った”顔相の子を見かけなくなりましたものねえ。そしゃく不足なんだ。
花田 よく噛まないでモノを食べるから、アゴが発達しない。こめかみも動かないから脳の働きも悪くなる。
 昔の人は、スルメをかじったり。昆布やたくあんを噛んだり、丸干しを骨ごとかじってアゴを鍛えました。昆布や丸干しは、噛む効用だけでなくカルシウムやミネラル類の補給にも効果がありました。それがいまはみんなジュースやスープで飲む。噛む習慣がない。これはよくないことです。
浅井 人間の食べ物に対する感覚というのは、味(舌)、におい(鼻)、見た目(目)の三つがありますね。それともう一つ重要だと思うのは。やっぱり食べたときの歯触りですね。これ、すごく大事だと思うんですよ。
 だから歯が抜けておじいさんになっちゃうと、入れ歯では本当の食の醍醐味というのがない。おもしろいなと思ったのは、固いものを食べたときに自分の体調がわかる。歯で噛んで、抵抗が強いときはからだの調子があまりよくない。固いものを食べてなんの抵抗もないときはからだも快調!。
 ほんとに微妙な感覚があるんですね。人間は“噛む”という行為から微妙なプラスアルファを得ているのだろうと。いまおっしやったように、たくさん噛むと頭がよくなるというのはたぶんあるでしょうね。
花田 よく唾液を出すと、食べものに少々の農薬がついてたりしても、唾液がそれを消毒してくれる。それはいろんな専門家が言っておられます。農薬や腐っているものを食べてもいい、その代わり何回も噛みなさいって。
 その意味では、別に玄米を食べなくても30回、50回と噛めばいいんです。そういう健康法を守っている方もいらっしゃるんです。よく噛んで液状にして食べなさいと。少なくとも30回は噛みなさいと。
浅井 昔はお年寄りからね、先人の知恵として言い伝えで教わったものです。私の子どものときの記憶でも、祖母から「水を噛んで飲め」と言われましたね。
花田 牛乳も噛んで飲めと言いますね。
太田 いいものを、よく噛んで食べればなおいいということですね。
浅井 結論がでました!
 
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