大世紀末 
サバイバル読本
“食育”編
浅井隆+花田美奈子・太田晴雄
総合法令
 
第1章 その食生活があなたを殺す

■ガンもボケもあなたしだい

花田 このあいだね、小さいお子さんが三人いらっしゃるご家庭で。お昼をいただいたことがあるんです。するとお子さんたちは、自分でさっさとインスタントラーメンを持ってくるんですね。
 化学調味料の恐ろしい味なのに、お母さんも黙認してるんです。幼児に対する成人病検診では、4人に1人が成人病の予備軍と診断されているというのに……。私、そのとき思いました。「ああ、これではいけない、これからは絶対に『食育』が必要だな」と。いまからでも遅くないんです。
浅井 親のほうも、食に対しての考え方というものがない。
花田 親も含めてね。子どものときからやらないとダメなんです。まあ、フランス人みたいに、「おいしいものを食べて死ぬのはオレの勝手だ」という考え方の方もいらっしゃいますが。
浅井 グルメの国フランスと言ったってね、そういうのはごく一部の人でしょう。やっぱり健康に気を使うのは世界共通ですよ。
太田 同じ死ぬのでもね、ほんとに寿命が来て、畳の上で大往生する“自然死”こそ理想だと思いますよ。
花田 人生半ば、花の盛りに病気でトン死するというのはねえ。やっぱり、自分の死に方を自分である程度決められるというのが理想的ですよね。
浅井 自分の死は、自分でデザインする!!
太田 食に気をつけていれば、必ず自然死で大往生できます。死の直前まで元気に動き回っていて、ある日ポックリ! いいなァ。
浅井 ねたきりで子どもたちのもてあまし者になることもないしね。どんどん働いて、社会にも貢献できます。
花田 食べ物で自分の病気をつくってしまう。でも、ちょっと知っていることによってそれは避けることができるわけですね。ふつうはお医者にかかって、あなたは血圧が高いですよ、塩を控えなさいよ、肉食を控えなさいよといわれて、初めてセーブするわけですよね。でもそれをもう少し前に知っていれば、医者から言われなくても、病気になる前に自分の病気のコントロールができるわけです。成人病というのは必ず食からきているわけですから。糖尿病にしても血圧にしても肝臓病にしても全部そうですよね。少し食を考えているだけで、どのようにでもなるんじゃないかなと。だから「あなたの死に方」をデザインしてみませんかということが出てくる。それは前にもお話したように、“人間フォアグラ”だった私の体験から言えることです。
太田 少なくとも、ジュースを飲みながらご飯を食べる――というような子どもたちのライフスタイルはやめさせなければ……。
花田 もっと怖い話があるんですよ。それは赤ちゃんのベビー食ね。育児の本に、哺乳ビンでチンすればいいとか書いてある。そんなので子どもを育てるわけですから。それもチャンとした先生が本に書いていらっしゃる。もう、人生の最初から食生活が間違っているんです。
浅井 いま、だいたい皆さん、ほとんどの方、病院で死にますよね。ただ怖いなと思うのは、たとえば脳溢血なんか頭に穴を開けちやって、ぜんぜんだめだというのわかってる、植物人間みたいになりそうだってわかっているんだけれども、一応いろんな機械をつけて、生かしてるだけなんですね。映画とかテレビでたしかに見たことはあったけど、実際に数年前、肉親がああいう状態になって、駆けつけたときに見せられたときには、ほんとにショック受けました。
 いまの医学というのはこれなんだなというのを見せられましてですね。つまり病院で切り刻まれて死ぬわけですよ。やっぱりね、日本人の本来の感覚では畳の上で死にたいというのがありますよね。最後はまともに死にたいという自然死を考えているわけです。
花田 いわゆる長寿村で棡原(ゆずりはら)ってありますね。山梨県ですが。八〇何歳までみんな農耕に出て、かなりきつい山の斜面を歩きながら生活している。きのうまで元気、元気で、次の朝目が覚めなかったという。
浅井 老衰ですか。
花田 自然死です。毎日山の斜面を歩く。そういう環境が足を鍛えさせ、長寿のもとになっているわけですね。食べるものは手打ちのうどんだとか、そのあたりで採れる野菜。非常に粗食ですよね。ところが最近ではファーストフードのハンバーグだとか、食品添加物がいっぱい入ったものを行商人が売りに来る。この前テレビで見ていたなかでは、結局そこの若い人たちや子供たちがハンバーグを食べている。四世代ぐらい一緒に生活しているんですよ。同じテーブルを囲んでいますけれども、同じものを食べていない。みんなバラバラなんです。だから逆に息子たちが30歳くらいである日、心不全で亡くなるとか。まさに“逆さ仏”。
浅井 親よりも先に子が死んでしまう?
花田 そう。80いくつのおじいさんが息子のお墓を……。なぜそこが長寿村なのかというと、みなさん一生、ほんとに足腰を使ってよく歩いて、そして粗食だったと。これこそ本当に健康のお手本だという、まさにサンプルのようなところですけどね。こういう人たちは自然死を選べる。私の友だちの中には健康保険に入っていない人もいます。食で自分
浅井 それほど自信があるわけですか。
花田 それはもう確信を持っている。そういう方、何人もいますよ。
浅井 そこまで行くと、人間が生きていくうえの高度な技術ですね。昔の仙人が雲に乗って不老長寿の薬をもっていてと……。そんなイメージになってきましたね。
花田 風邪をひいてもね、民間療法がいっぱいあるんですよ。ひき始めに、梅におしょう油を入れて、番茶を入れてという具合に。そんなわけで私なんか風邪ひいても売薬を飲まない。その方法で治ります、3日で。レンコンをすって、ショウガをちょっとすって、それにおしょう油を垂らして、熱いお湯を入れて、それをだいたい2杯ぐらい飲むとわーっと発汗する。それでセキが出てくるときは大根を細く切って、ハチミツ入れてね、その汁を飲んで治してしまいます。
浅井 それは無農薬でつくったもの。
花田 もちろん無農薬。
浅井 市販の風邪薬は飲まない?
花田 飲みませんね。
浅井 はっきり言ってあんなの論外。
花田 論外。ぜったい飲まないですよ。
浅井 ちょっと余談になりますけれども、私はこんな商売してますから結構肩こりとかがひどいんですよ。それでよく指圧に行ってるんです。指圧なんかどうなんですか?
花田 あれは筋肉痛を起こさせるだけだということを言う人もいますけれども、それより本当はお風呂のほうがいいんですよね。お風呂へ入って血行よくするほうがいい。
浅井 あるいは運動してね。指圧というのは習慣性になるんですね。
花田 そうなんですよ。
浅井 一週間ほどやらないと頭がぼーっとしてくる。
花田 鍼治療は効果がありますけどね。
浅井 指圧やっている人の陰謀かなと(笑)。
花田 からだがそういうふうに覚えちゃうわけですよ。からだが習慣性になるんですよ、だからまた欲しくなる。お肉を食べたらお肉を食べたくなる。甘いものを食べたら、やっぱり甘いものを食べなきやいられなくなります。動物のもっている本能じゃないでしょうかね。いいものを食べて適度の運動、ウォーキングがよいと思います。
浅井 そういう意味では、ホンモノを食べてそれに慣れて、こういうものを食べなきゃだめだみたいにしていくのがホントなわけですね。
花田 あまり難しいことを考えない。そうしているうちに自分のからだが、ヘンなものは気持ちが悪くて食べられないということになりますよ。
浅井 そういう意味では食育の話ってなかなか幅が広いですね。とりあえず、自分の子どもをいかに教育、「食育」するか。それから自分自身も何を食べるかから始まって、一種の哲学みたいなものをつかんでいく。最後はいかに死ぬかですね。まさにガンもボケもあなたしだい。
 
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